30年愛し続けた週刊少年ジャンプの新たな形
※2018年公開記事の再掲載※
ごきげんいかがですか?春日ハルです。
「身体は大人、心は子供」という某名探偵とは真反対の私ですが、その生活に欠かせないものと言えば『週刊少年ジャンプ』。
ジャンプの黄金期に買い始めてから30年近くずっと買い続けていますが、最近では電子版を購読しています。
『ジャンプ+(プラス)』というのですが、皆さんも使っていますか?
この記事では、約3年使って分かった『ジャンプ+』の良い所、悪い所について書いていきたいと思います。
『ジャンプ+』とは?
『週刊少年ジャンプ』の発行元である集英社が管理するWEB漫画媒体で、2014年9月22日に創刊されました。
現在では、パソコンやスマートフォン、タブレット端末等から見ることができ、『週刊少年ジャンプ』の公式発売日の午前5時ころから最新号が配信されるようになっています。
電子版の『週刊少年ジャンプ』を単体で購入することも出来ますが、月単位の契約(月額900円※2024年1月時点では980円)を行うこともできます。
『週刊少年ジャンプ』の電子版は購入しなければ読めませんが、『プリティフェイス』『エム×ゼロ』の叶恭弘先生、『すごいよ!マサルさん』『ピューと吹く!ジャガー』のうすた京介先生、『クロス・マネジ』『バディストライク』のKAITO先生、『BLACK CAT』『To LOVEる』の矢吹健太朗先生などなど、『週刊少年ジャンプ』の連載経験者を持つ人たちが連載している漫画は無料で読むことが出来ます。
なので、「電子版に興味はあるけど、やっぱり本は紙で読みたいし…。」という人は、とりあえず無料連載の漫画を読んでみて電子版の感覚を試してみるといいかもしれません。
電子版のメリット
それでは、『ジャンプ+』で『週刊少年ジャンプ』を購読する際の良い所を紹介していきます。
とにかく安い
電子版の『週刊少年ジャンプ』は、紙媒体のものと同じ値段になっています(昔は割高でした)。
”同じ値段”というのは、その都度購入する場合の話で、定期購読にすると一月あたり900円になります。
『週刊少年ジャンプ』が250円とすると、4週間で1,000円ですから、それだけでお得ですよね。
もちろん、年末年始の合併号では発行される数が減りますので一見すると損しているようにも見えますが、ちゃんと計算すると、やっぱりお得なのが分かります。
定期購読:900円×12カ月=10,800円
都度購読:250円×49(年間52号まで発行され、3回は合併号があるため)=12,250円
しかも、定期購読をしていると『ジャンプGIGA』という増刊までタダで読めてしまうんです。
超オトク!
かさばらない
電子版の最大のメリットと言っていいかもしれません。
皆さんは、雑誌は読んだらすぐ捨てる派ですか?
私は長期間保管しておく派です。
私はモノを集めるのが大好きで、特にジャンプは読み返すこともありますので、捨てずにずっと保管していました。
しかし、やっぱりかさばるんですよね、雑誌って。
一年間分を捨てずにいるだけでも、相当なスペースを取られてしまいます。
今まで紙媒体のジャンプを買っていたのに、電子版を買うようになると、”買った”という感覚が薄く、最初は何か違和感を覚えていました。
しかし、社会人になって、家が狭いうえに、仕事の都合で引っ越しが頻繁にあるという環境を考えると、タブレット一つで何十冊のジャンプを持ち歩けるというのは凄く便利です。
売り切れない、遅配しない
電子版だと、売り切れる心配がありません。
今の流通がどうなっているかは分からないのですが、昔は入荷が少ない所では夜には売り切れているということもザラでした。
しかし、電子版なら売り切れるということがありませんし、万が一仕事が忙しくて買い逃したとしてもバックナンバーを買うことが出来ます(定期購読すれば買い逃すこともなくなるのですが)。
さらに、流通の影響を受けることがありません。
台風や大雪などで年に数回は流通が乱れることがありますが、そうした場合でも電子版ならば決まった時刻に配信されます。
私が小学生の時、ジャンプの発売日は火曜日でしたが沖縄では水曜日にしか発売されませんでした
今でもあるかはしれませんが、遠隔地や離島など、紙媒体のジャンプが月曜日に発売されない場所でも、電子版ならば必ず月曜日に購読することができます。
おまけのカラーページ
電子版のジャンプでは、巻末に特定の漫画のカラーページがついています。
どういうことかというと、その週に掲載された話と同じものが、デジタル彩色された状態でも楽しめるんです。
2016年は『食戟のソーマ』、2017年と2018年は『ゆらぎ荘の幽奈さん』になっています。
どちらの作品もモノクロでも綺麗な作品ですが、カラーで見るとまた違った味わいがあります。
アンケートが出しやすい
ジャンプはアンケート至上主義で、どんなに面白い漫画であっても読者アンケートの順位が悪ければ打ち切られてしまいます。
自分の好きな作品を終わらせないためには出来るだけアンケートを出した方が良いのでしょうが、アンケートを出すのって切手代もかかるし、面倒くさいんですよね。
でも、電子版なら、ジャンプを読み終わったらそのままアンケートを出すことが出来ます。
もちろん、切手代もかかりません。
複数の端末で共有することが可能
『ジャンプ+』のアカウントは、複数の端末で共有可能です(5台まで)。
つまり、家ではパソコンの大きな画面で見て、通勤中や通学中の電車ではタブレット端末で続きを見るという使い方もできるということです(仕事中に会社のパソコンで読むこともできますね!)。
家にいながら購入可能
これ、地味に嬉しいんです。
ジャンプは基本的に月曜日発売なのですが、祝日の関係とかで土曜日に発売されることもあります。
「今日は一日引きこもって家でゴロゴロするぞ!」って決めたのに、ジャンプの発売日でどうしても外出しなければいけなくなった時の無念さといったら…。
電子版ならば、電波が届くところであればどこでも購入可能ですので、家を出てお店に買いに行く手間も省けます。
隠れた才能に遭える
これは電子版ではなく、『ジャンプ+』についてですが…
『ジャンプ+』では、『週刊少年ジャンプ』の元連載陣に加え、色々な新人の連載や読切を読むことが出来ます。
最近では、藤本タツキ先生の『ファイアパンチ』という作品がツイッターで度々話題になっていました。
電子版のデメリット
次に、『ジャンプ+』で『週刊少年ジャンプ』を購読する際の悪い所を紹介していきます。
データ容量の問題
電子版のジャンプ1冊当たりの容量はだいたい100MBです。
10冊で約1GB。
パソコンを使ってブラウザで見るならばよいのですが、スマホやタブレットだとストレージにかなりの容量が必要になります。
また、Wi-Fi環境があればいいのですが、モバイル回線しかないような場合だと、データ通信の容量にも気を配らないといけなくなります。
見開きの問題
私は基本的にタブレット端末を使って読んでいます。
ページの表示方法は、「1ページずつ」と「2ページずつ(見開き)」を選べるのですが、見開きにすると1ページごとの画像の大きさが半分になってしまい、文字が読みにくくなるので、私は「1ページずつ」の表示にして読んでいます。
でも、こうすると『ONE PIECE』とか『Dr.STONE』とかの見開きを多用する漫画が凄く見にくいんです。
文字の見やすさを取るか、見開きの見やすさを取るか、悩ましい所であります(パソコンのブラウザで見ればこのデメリットは解消されます)。
付録がつかない・灰塗りの部分もある
当然ですが、紙媒体ならばついているような”限定の遊戯王カード”といった付録のようなものはついてきません。
また、WEB媒体では写真を使ってはいけない人(某事務所の人)が実写映画のキャストになっていた場合などは、映画の宣伝ページの該当人物が灰色で塗りつぶされているなど、悲しいものになっています。
『ジャンプ+』の無料連載について
『ジャンプ+』では、毎日無料で漫画が更新されており、日付が変わった瞬間にその曜日の担当になっている漫画の最新話が更新されます。
連載作品は毎週更新されるものもあれば、隔週(2週間に1回)や月1の連載となっているものもあります。
連載漫画は、基本的には1~3話目までが無料。
原則として、4話目以降も公開から2週間が経つまでは無料で読めますが、それより後に読む場合は『コイン』が必要になることもあります。
『コイン』って何?
コインとは、アプリ内で使えるポイントのようなものです。
ミニゲームをしたり、新連載の漫画の第1話を読むことでもらえたりします。
現金を支払ってコインを買うことも出来ますが、私は使っていないコインが2600くらいありますので、よほど暇を持て余した方でない限りはコインはどんどん貯まっていくと思います。
同じジャンルの作品がダブる
『ジャンプ+』は、本誌に載せたいけどなかなか連載会議で連載を勝ち取ることができない新人の成長の場でもあり、実験の場でもあるのではないかと思います。
それ故か、近接した時期に(ひどい時には同じ時期に)似たようなジャンルの漫画が連載されることもあり、読者としては食傷気味にもなってしまいます。
現在では、デスゲームものとして『漫殺ーマンコロー』(火曜日)、『ラブデスター』(水曜日)、『奴隷遊戯』(金曜日)、『あえじゅま様の学校』(土曜日)、『友食い教室』(日曜日)が連載されています。
1冊の雑誌に同ジャンルの漫画が5本も載っているとなると『週刊少年デスゲーム』に誌名を変えなければならないくらいの致命的な欠陥だと思いますが、『ジャンプ+』はWEB媒体であり、更新日が異なるために同じタイミングで読むことも少ないため、こういう連載陣の構成でも大丈夫なんでしょうね。
おすすめの『ジャンプ+』連載作品
最後に、2018年3月時点で私がおすすめしたい『ジャンプ+』の連載作品を紹介したいと思います。
月曜日
『サマータイムレンダ』(作:田中靖規)
ジャンプ本誌では『瞳のカトブレパス』『鍵人』を連載していた田中靖規先生の最新作。
幼馴染が亡くなったことで故郷の島に帰ってきた主人公が、奇妙な事件に巻き込まれるタイムリープもの。
ページ数が少なかったりで話がなかなか進まないのが玉に瑕です。
『地獄楽』(作:賀来ゆうじ)
ざっくりいうと、多くの死刑囚とその処刑人が島に送られ、自由を勝ち取るために死刑囚同士が殺しあいながら宝を探す話です。
絵がきれい。
個人的には和のテイストってとても魅かれます。
『路地裏バンチ』(作:かばた松本)
頭のハゲたオッサン(でもカッコいい)が主人公なんて、本誌では絶対無理だろうなぁと認識させてくれる漫画です。
話が進むにつれてキャラの掘り下げが出来て、魅力的なキャラが増えました。
絵はスッキリと見やすく、話も分かりやすいです。
火曜日
『透明人間の骨』(作:荻野純)
自分の存在価値が見出せない少女が身に着けたのは、透明になれるチカラ。
透明になれるチカラを利用して犯した罪を軸に、少女が成長するストーリーです。
これを書いている時点で、完結まであと3話。
長く書ける題材ではないだろうけど、終わるのは寂しいなぁ。
『悪魔のメムメムちゃん』(作:四谷啓太郎)
ダメダメな淫魔の話。
最初は中途半端なエロくらいしか強みがなかったのですが、脇役たちが揃い、主人公がどんどんゲスい方向に行ってからは断然面白くなりました。
『れっつ!ハイキュー!?』(作:レツ)
私は、人気漫画のスピンオフ作品というのは、変な設定をつけ足したりしているせいでなかなか受け付けない人間なのですが、何故かこの作品だけは楽しめてしまいます。
この漫画もたいがい変な設定をつけ足していますが。
水曜日
『天神‐TENJIN‐ イーグルネスト』(原作:小森陽一、ネーム:田岡宗晃、作画:杉江翼)
迫力のある画とアツい展開が売りです。
今は隔週連載になってしまいましたが、以前は毎週連載しており、「どうやってこのクオリティの絵を一週間で仕上げているんだ?」と思うこともしばしばでした。
作画の杉江翼先生のツイッターでは、ラフ画も見られたりします。
『ジャンプ+』連載陣の中では唯一コミックスを購入している作品です。
『青のフラッグ』(作:KAITO)
『クロス・マネジ』や『バディストライク』を連載していたKAITO先生の最新作。
「こういうのが描きたかったんだろうなぁ。」と思えるほど恋愛に話を振り切っています。
私は少女漫画も好きなので『青のフラッグ』のノリも好きなのですが、やはり本誌ではウケない内容なのかとも思ってしまいます。
そういう意味では、『ジャンプ+』は懐が広いなぁと思います。
『元ジャンプ作家が育児に精を出してみた』(作:鈴木信也)
『Mr.FULLSWING』『バリハケン』の鈴木信也先生のエッセイ漫画。
二人の娘を育てる楽しさや苦労を、いつものノリで描かれています。
この漫画を読んで、鈴木先生のことが少しだけ好きになりました。
その他、水曜日には大人の事情でコミックスの4巻以降はデジタル版しか発行されなくなった『ラブデスター』(作:榊健滋)も連載されています。
木曜日
『剥き出しの白鳥』(作:鳩胸つるん)
完璧超人の主人公の唯一の欠点である”露出癖”を軸にストーリーが展開していきます。
というか、発想がかなりぶっ飛んでいます。
正直ワンパターンでマンネリ感もあるのですが、最近登場した父親がいい味を出していて盛り返してきたなと感じています。
『さぐりちゃん探検隊』(作:あきやま陽光)
「明日行ける」というのがキーワードであって、実在する東京近郊の探検スポットなどが紹介されていますが、私のような田舎者には関係のない話です。
ぶっちゃけ、さぐりちゃんが可愛いだけの漫画です。
が、「表紙ではなく、その話で一番見せたいところにカラーページを挿入する」というカラーの使い方は毎回感心します。
金曜日
『見栄っぱりシンドローム』なかだまお
秀才同士の不器用な恋愛模様、少女漫画が好きな人は楽しめると思います。
最近になって連載が再開して嬉しい限り。
あとは、金曜日は『カラダ探し』とか好きだったんですけど、わけのわからん終わり方をしたと思ったら『カラダ探し 解』とかいう続編が始まってしまって、理解するのも面倒になったのでパラパラ流し読みしてます。
土曜日
『ROUTE END』(作:中川海二)
死者が出た物件の清掃を行う”特殊清掃”の仕事をしている主人公が、猟奇的な連続殺人に巻き込まれる話です。
本格的なストーリーで、今後の展開次第ではテレビドラマになってもおかしくないと思っているほど、話は練られていると思います。
『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミアILLEGALS-』(脚本:古橋秀之、作画:別天荒人)
本誌の人気漫画『僕のヒーローアカデミア』のスピンオフ。
ジャンプのスピンオフはギャグ漫画が多いのですが、これはちゃんとストーリーが展開されています。
ヒロアカの設定を使い、原作とリンクさせながら話を展開させていっているのですが、ぶっちゃけスピンオフの方が本編よりも面白いです。
その他、土曜日は『フードファイタータベル』(作:うすた京介)も連載されています。
夫婦(妻は水曜日に『ラブデスター』を連載している榊健滋先生)で同じ媒体に連載しているなんて、どんな気持ちなんでしょうか。
やっぱりお互いのアンケート順位なんかも気になるのかな?
日曜日
『花のち晴れ ~花男NextSeason~』(作:神尾葉子)
みなさん一度は耳にしたことのあるであろう超有名漫画『花より男子』の続編です。
続編と言ってもF4の時代とは世代が変わっており、道明寺くんなどはほぼ出てきませんが…。
「何で『ジャンプ+』で連載を?」と思うのですが、『花男』ファンとしては『ジャンプ+』で連載してくれるのを嬉しく思います。
『終極エンゲージ』(原作:江藤俊司、作画:三輪ヨシユキ)
「自分(男)のクローン(女)と結婚する」というのがスタートだったので、かなりぶっ飛んでるなと思って様子を見ていたのですが、修行のために立ち寄った最初の星で時間を使いまくったためか、修行編はさっさと片付けて結婚の権利を得るためのトーナメント戦が始まってしまうなど、ストーリーの展開もかなりぶっ飛んでます。
というか、修行編で時間使いまくっていたのに、トーナメントも駆け足だし、打ち切られてしまうのでは?という不安も…。
不定期連載
『すすめ!ジャンプへっぽこ探検隊!』(作:サクライタケシ)
おにぎり屋さん(?)が連載しているルポ漫画です。
以前は『ジャンプの正しい作り方!』というジャンプの製造工程などのルポ漫画を描かれていましたが、今はジャンプにちなんだ企画などのルポ漫画を描いておられます。
「ジャンプ編集部の人はどれだけジャンプ出来るか?」といった何故ゴーサインが出たのか分からないような企画もあれば、「手塚賞・赤塚賞のパーティーのルポ」といった漫画家を志すものであればヨダレが出るような企画もあり、面白さの振り幅が大きいのも特徴です。
「集英社の女子トイレのマークを矢吹健太朗先生に書いてもらった」という企画では、書いてもらったマークが性的であるというクレームが殺到したため配信中止になったことを考えると、この漫画に注目していたのは私だけではないのかもしれません。
おわりに
以上、簡単ではありますが『ジャンプ+』についてまとめました。
この記事を読んだ人が、『ジャンプ+』を通じてまだ見ぬ新しい漫画に会えると嬉しいです。