本当の嘘つきは誰なのか?B'z『LIAR!LIAR!』
私はB'zの大ファンです。
私がB'zの音楽を聴くようになったのは、高校2年生の時の同級生に『SURVIVE』というアルバムを借りてから。
『SURVIVE』の発売が1997年なので、もう20年以上も経ったんですねぇ。
それまで殆ど音楽を聴いてこなかった私は、『SURVIVE』をきっかけにB'zの過去の音楽にも興味を持つようになったのですが、そうすると「この曲聴いたことあるな。」「このカッコいいと思っていたけど名前が分からなかったこの曲も、B'zの曲だったんだ。」と、B'zを知れば知るほどドハマりしていったんです。
今日は、私がB'zに興味を持つようになった『SURVIVE』に収録されている『Liar!Liar!』という曲について書きます。
『Liar!Liar!』の基礎知識
B'zの23番目のシングル曲で、オリコン1位を獲得しています。
打ち込み音やギターリフを多用していて、当時のインタビューではこの曲について「原点回帰」とコメントしています。
元々はアルバム『SURVIVE』からの先行シングルがなかなか決まらず、急遽最後に製作された曲で、当時のB'z史上最短時間で完成した曲として知られています。
歌詞の内容
Liarとは”嘘つき”という意味です。
歌詞の中には、様々な”嘘つき”が出てきます。
交際していたカノジョに始まり、先生とママ、政府と火星人、警察と悪い人というふうに。
純粋に人を信じていたけど、色々な嘘に触れ、段々と疑うことを覚えていく。
真実を知るのには痛みが伴うから、嘘は嘘のままで、信じてさえいれば嘘にはならない。
真実を見ないふりをして、知らないふりをして生きていくことも出来るけど、自分はそんな嘘にまみれた人間にはなりたくない。
You,liar,liar もう信じられないや
なんてスッパイんだ オトナのパラダイス
完全な芝居で 信じさせてよ
ウソなどないと 思いこませてくれ
Oh,liar,liar だれもがliar
愛する人が ハッピーになりゃそれでいいや
でも、やっぱり嘘に気付いてしまう。
愛する人だって、自分に嘘をついている。
でも、愛する人がそれで幸せになるなら、自分はそれでいい。
強がってはいるけど、何て献身的(自己犠牲的)な純愛なんだろうと思っていました。昔は。
「だれもがliar」の本当の意味
純粋だった頃の自分は、「愛する人がハッピーになりゃそれでいいや。」と思って恋愛をしていたと思います。
しかし、年を重ねていくうちに色々な事があり、「自分が幸せになれないのに、何であいつだけが幸せそうにしてるんだ。」と思うことも出てきました。
世の中の理不尽さとか、そういうものを「仕方ないことだ。」と受け入れられなくなってしまったんですね。
そして『Liar!Liar!』という曲を聴き直したとき、新しい気持ちが浮かびました。
「これは、献身的な純愛ではなく、嫉妬とか憎しみとかで渦巻く自分自身の内面を曝け出した曲なのではないか?」と。
Oh,liar,liar だれもがliar
愛する人が ハッピーになりゃそれでいいや
この「だれもがliar」に”自分”が含まれるかどうかで、この曲の解釈は180度変わります。
「だれもがliar」に”自分”が含まれない場合
最初の私の解釈のとおり、自分以外の誰もが嘘つきという解釈です。
純粋な”自分”が世の中の様々な嘘に曝されながらも、それでも彼女の幸せを強く願うという”青臭い”感じになります。
この解釈しか出来なかった昔の自分は、歌詞のとおりに青臭かったのか、単に勘が鈍いのか…。
「だれもがliar」に”自分”が含まれる場合
「だれもがliar」に、言葉どおり「だれもが」、つまり自分も含まれている場合には自分も嘘つきということになります。
すなわち「愛する人が ハッピーになりゃそれでいいや」という言葉も嘘で、ただのキレイゴトということ。
この解釈に気付いた時、「身体に衝撃が走る」というのを生まれて初めて実感しました。
それと同時に、自分自身がオトナになってしまったのか、薄汚れてしまったのかと悲しくなってしまいました。
この歌詞の主人公も、きっと最初はカノジョのことを純粋に愛していたのでしょう。
しかし、カノジョの嘘を知ってしまった。
世の中は嘘だらけで、何も信じられなくなって、真実を追求するため、嘘をついていたカノジョを責め、”嘘つき”という存在を否定した。
しかし、最後の最後で自分自身までもがイイヒトを演じるために”嘘つき”になることを選んでしまった。
全くベクトルの違う”嘘”だけど、”嘘つき”には変わりない。
嘘をつくのも優しさ?
知らない方がいい真実から嘘をつく。真実を知られたくないから嘘をつく。
彼女のことを嘘つきと罵って別れを選んだけれども、最後の最後で「愛する人がハッピーになりゃそれでいい」なんてカッコつけてしまう自分も”嘘つき”だ。
そう考えると、この『Liar!Liar!』という曲に対する思いが180度変わってしまって、とても人間味の曲に思えてきます。
まとめ
以上、『Liar!Liar!』についてでした。
自分がこの歌詞の解釈に気付いた時には、まるで悟りを開いたかのように凄い発見をしたような気分になったのですが、この発見の経緯を妻に話したところ
私は最初から「誰もがliar」に自分も含まれていると思っていたよ。
…とのこと。
ぐぬぬ。
でも、自分のように歌詞の解釈が途中で変わった人の方が、きっと何倍もB'zのことを楽しめてますよね?
そうだ、きっとそうに決まってる。